ホリエモン送金メール問題の本質について 2006/2/20
☆ライブドア前社長堀江貴文氏が、自民党武部幹事長の次男宛に3000万円を送金する様に社内関係者にメールで指示した、との2/16日の衆院予算委員会で民主党の永田議員が指摘し、現在、マスコミは大変喧しいかぎりです。
この電子メールの信憑性を巡り、国会は自民対民主の激しい応酬が続いており、小泉総理からも『ガセネタ』という表現まで飛び出しました。
確かにこの手の話は、我々カヤの外の人間にしてみると、野次馬的に見ても結構興味を引く問題であり、昨年の流行語であった『小泉劇場』を地で行くものとして、国会でのやり取りに対し、新聞紙面やTVニュースから中々目の離せない所です。
しかし、テレビで見る民主や自民の議員諸氏のエキサイトした発言とは裏腹に、我々一般市民として、何かやり切れない感覚を持つのは私だけでしょうか。
⇒ 『 あ〜あ、またか! 』 という想いを持ちませんか?
勿論、『ガセネタ』という表現は一国の総理大臣が国政の場で発言する内容としてはやはり品性を欠くものと言わざるを得ず、不適切ではないか、という事だけでなく、今回の件が事実か虚偽かという以前の問題として、もっと深い問題を、はからずも浮き彫りにしたという感慨を持ちました。
◎今回の事件について、貴方は下記のどちらの感慨を持ったでしょうか?
1.自民党の議員がその様な不可解な金銭の授受を行なう筈が無い!
2.自民が公認していない堀江氏を武部氏があれだけ推していたのだから、やっぱり金が動いていたに違いない!
やはり、過半数の人が 2. の想いを持ったのではないでしょうか。 そうでなければ良いのですが。
そして私がこの事件で本当に問題にすべきなのはその部分であると言いたいのです。
ご承知の如く、現代社会は従来からの『なあなあ主義』は通用しなくなり、フェアにやらなければ認められない社会、つまり法令の順守(コンプライアンス)が益々求められてきており、一般企業や公務員は勿論、政治家なども大変シビアに遵法を要求されております。
しかし、世間一般の政治家を見る目は、未だに『幾許かのうさんくささ』を持った目であることもまた事実ではないでしょうか。
今の子供達の『将来なりたい職業』の中に、『政治家』は全然入っていないという事もその表れなのでしょう。 (第一生命やBenesse のアンケート結果)
つまり子供達にとって(という事は大人にとっても)政治家は『あこがれの職業』とはなっていないのです。
そしてもうひとつの大きな問題は、政界に身を置く人たちには、その一般市民の感情が余り認識されていないという事なのです。
しかし、この『政治家に対する市民の漠然とした不信感』は、我々市民にとっても当の政治家にとっても大変不幸なものであり、投票率の低下など、特に若年層の政治離れや無関心は、私がこの場でえらそうに指摘するまでも無く、民主主義社会の大きな障害となっていることは言うまでもありません。
そしてこの問題は『一方的な不信』ではなく『相互不信』でもあるのです。
政治家の側が市民の審判を本当に恐れているならこの様な金銭疑惑などは起こらないでしょう。 火の無い所に煙は立たない、といいます。
やはり政治家の側にも、どこかに『市民を小馬鹿にしている』所があるから『バレ無ければいいや』というレベルで事が行われるのだと思います。
昔からよく、政治家の態度について『選挙の時だけ低姿勢』とされているのもその現われなのでしょう。少なくとも市民の側にはそう映っているのです。
物事は決して一方的なものではないのです。
物理学の『作用/反作用の法則』を持ち出すまでも無く、一方が嫌えば他方も嫌い、一方が馬鹿にすれば他方も馬鹿にする行動を取るのです。
今回の事の真相が何れにあり、どう決着がなされるかは別として、このホリエモン送金メール事件が切っ掛けとなって
市民と政治家の双方が『相互不信』でなく『相互信頼』を持てる様に
良い意味でお互いをもっとシビアに認め合い、相互に認識すべき時ではないでしょうか。
☆2月27日の時点において、このメール問題の真相は、やはり虚偽であったとの見方が大方になっております。
そして、民主党は勿論、自民党の中からも、今回の問題が引き起こした『国会と国会議員の権威と信用の失墜』について、真摯に危惧する声が上がってきております。
ここまでの馬鹿馬鹿しいドタバタ劇の後、やっと議員さん達も少し解って来たのか、という感じがしてます。
この問題が投げかけた今回の事件の事の本質について、これを切っ掛けに、みんな少しでも利口になれば良いのですがねえ。 (2006/2/27 追記)