団塊は踊らない 団塊世代の退職者を当て込んだ 取らぬ狸の皮算用のドタバタ  2006/6/22


☆昨今の新聞やテレビの話題で、来年から急増する団塊世代の定年退職者を当て込んだ各企業の『戦略』が、様々な分野で紹介されています。
つまり『07年問題』をターゲットにした商売が始まったというわけです。
アパレルやファッション業界はもとより、保険会社、旅行代理店、耐久消費財メーカー、果ては少子化社会に悩む『大学』まで、団塊世代の退職金と年金、そしてリタイア生活で余った余暇時間を取り込もうと、様々な思惑であの手この手の企画を打ち出しております。
確かに、団塊700万人という人数と40兆円と見られている退職金は、小泉政権下での規制緩和により競争の熾烈化している日本社会においては大変魅力的に映ることは事実なのでしょう。対象者から見ると、『そんな金どこにあるんか?』という感慨であり、また実際は『悠々自適』とは程遠い人が大半なのが実情ですが、面白おかしく取り上げるマスコミは、その点には全く触れません。
団塊にターゲットを絞り、独自のマーケティングを行ってわが社の商品やサービスを特化して提供するという行為は、資本主義社会の流れとして当然のことなのかもしれません。

 しかし、それを考え計画している企業側から見ると大真面目な計画であっても、当の我々団塊世代の人達から見るとその大半が大変滑稽なものに映っているのです。
だって、現在各企業を動かしそれを支えている、またつい最近まで動かしてきたのは我々ベビーブーマーなのですから。
つまり今、団塊をターゲットに考え、売らんかな使わせんかなと頭をひねっている人達は、まさにその団塊世代の弟分/後輩たちなのです。彼等がヒヨッコだったとき手取り足取りして仕事を教え、社会人のルールをたたき込んだのは他ならぬ団塊の『兄貴』だったのです。
言わば『手の内を知り尽くしている』人達に対し、彼等が一旦リタイアすると手のひらを返したように、アレいいよコレいいよとばかり、にわか作りの企画や商品などを押し付けても、鼻先であしらわれるのは火を見るより明らかなことなのです。
 勿論、それらの企画は現在の経営陣、つまり団塊世代かその少し上の世代の人達が頭の中で考え、後輩/部下に命じて作らせているものでしょうが、どっこい世の中はそんなに甘いものではないのです。その程度のことは、彼らも常々判っている筈なのですがねえ。
ほかに良い商売のネタも無いし、他社もやっているから流行に乗り遅れるのがいやで、取り敢えず手掛けているだけなのかも知れませんね。
結局のところ、『バブル』の時と同じパターンで会社は流れていっているという事なのでしょう。若しそうだとしたら、学習効果”0”と言われても仕方ない事になります。

 ここで改めて強調するまでも無く、我々団塊世代は過去よりずっと時代を動かしてきた世代なのです。
『どこまでいってもマジョリティ』であり、ライフスタイルやものの考え方、つまり人としてどう生きるかといった自己の捉え方生き方はもとより、音楽やファッション、文学や漫画/アニメ文化などのサブカルチャーまで、各時代の流行を創り出し育みそして捨てていった、戦後日本文化のクリエイター、コンシューマーでありまたコメンテーター、そしてデストロイヤーでもあったのです。戦後生まれの日本人の価値観は、まさに団塊世代の人達が創り上げて行ったわけです。

 その世代の人々に対し、様々な企業や団体などがいろいろなものを提示しようとしています。
そのこと自体に対しては別に文句を言う必然性はありませんが、ざっくり見て、その大半が『無駄な努力』としか映らないのもまた事実なのです。
個々人がそれぞれ独自の考えと価値観、それに基づくライフスタイルを持っている我々に対し、『十把一絡げに』モノや価値、サービスを提供しようとしても、その網にかかる魚は恐らく期待より一桁以上少ないでしょう。中途半端やみえみえの企画は、すぐに看破されて『ちゃんちゃらおかしい』と見向きもされなくなるのがオチなのです。
勿論、いまさら可処分所得も少なく数も少ない若者におもねるよりも、団塊世代を捉えた方がターゲットとしては魅力的ではありましょう。
しかし若し団塊世代を対象としたマーケティングを行い企画を立案するなら、よほどしっかりした戦略とコンセプトを持って臨むのでなければ、決して成功は覚束無いと思われます。

 一時の流行で猫も杓子も団塊世代に物を売ろうとしたが、みんな大失敗こいた、と後世揶揄されないよう、後輩の諸君、頑張って下さい。
ちっとやそっとでは、我々は踊らないよ!




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