造反議員の復党は、自民党による『選挙制度の私物化』に他ならない! 2006/12/6


☆小泉氏が去り、安倍晋三氏が総裁に就任した自民党は、郵政民営化に反対した所謂『造反議員』達の復党をあっさり認め、誓約書署名を拒否した平沼氏以外の11名をあらためて自民党員とした事はニュースで喧しい所です。
自民党の内部では、彼等の復党を『情の問題』として扱い、先の衆議院選の国民の下した審判を『済んだ事』として、過去のこととして扱ってしまいました。彼等は有権者の判断よりも自分達の身内の都合を優先させたのです。やはり、個々に顔の見えない選挙民よりも、毎日顔をあわせていた議員達の方が人情として放っておけなかったという事なのでしょう。 青木幹雄参院議員会長や中川昭一政調会長などの『情の問題として、云々』といった発言に如実に表されています。

 で、彼等自民党の掲げる『民主主義』なるものは、やはりその程度のレベルなのでしょうか。
フランス革命前夜、不公平な税制や政策に苦しめられていた民衆の不満を和らげるために提出された、貴族階級などに与えられていた諸々の特権の廃止に関する法案を、当時のルイ16世は『自分の親しい人たちが困るから』という理由で、署名せず廃案にしてしまった、という故事などと同じ類のことなのです。『理』や『正義』よりも『身内の情』を優先させる民主主義が存在するとでも思っているのでしょうか。

 自民党の幹部連中にとって『国民の審判を仰ぐ』などと神妙に言うことは、『選挙用のダマシのテクニック』の一つであり、単なる選挙民向けの『リップサービス』でしかない事が、今回の一連の動きでも明白となった訳です。建前より本音/他人より身内を優先させる彼等のやり方は、少なくとも法の治を大前提とする現代社会のルールとは大きく逸脱していると言わざるを得ません。

 今回の復党問題をきっちり民主主義のルールに則って行なおうとするなら、やはり、再度国民の審判を問うべきである事は明白でありましょう。最終的に『代議士としての彼等』を選ぶのは、自民党員ではなく選挙民である筈なのです。落選して今は『ただの人』となっている前職の人達を自民党員として公認するのは自民党の勝手ですが、『一旦自民党をクビになった無所属の議員』をホイホイと復党させるのは、党利党略を最優先させた完全な選挙民への裏切り行為以外の何物でも無い訳です。

 また以前に比べ、最近は衆議院の解散総選挙が余り行なわれておりません。政権党の都合や、金がかかるという理由で重要な案件に民意が反映されない、というのはこれも言語道断の現状です。安倍総理の本音や真意も、首相就任以降、余り聞こえて来なくなりました。また今の野党、特に民主党においても、機を見ての攻勢攻略が全く下手であり、現在の国政が課題山積みにもかかわらず、緊張感ある国会での与野党論議が余りなされていません。このままでは益々国民の政治離れが続き、国政はますます迷走するでしょう。

この復党問題は、図らずも自民党の今の体質やレベルを顕わにしたと言えると思います。安倍氏には結構期待もしたんですけどねえ。




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