もうやめよう! 日本の総理は使い捨て、各省大臣は日替わり定食 2008/ 9/15
☆先日の福田総理の、二代続けての政権放棄により、自民党の政権担当能力の欠如がより一層明確になりましたが、なぜ日本の総理はこれほどまでに『もろい』のでしょうか。
各国のメディアはこぞって『またか』という論調で扱っており、日本人として、自国の政治体制の不安定さに対し、大変やりきれなさを覚えました。課題山積みの中、コップの中の嵐を楽しんでいる余裕など無いはずですが。
各国の政治トップの在任期間について、2008/9/6のTBS『ブロードキャスター』でも一部紹介されていましたが、先進国においては、その政治責任者は少なくとも最低4〜5年は在任しているのですが、特に日本ではこの20年間を見た場合、僅か1.5年余と、混迷深める開発途上国並みの混乱ぶりとなっているのです。 先日の朝日新聞に、タイの政事混乱(辞任しないサマック首相)を報じたコラムで、向こうでは逆に『日本の福田を見習え!』との声が強いと出ておりましたが、我々から見ると一種の強烈な皮肉としか思えません。
そしてその混乱しているタイよりも、日本の方が交代した首相の数は多いのです。
☆各国政治リーダーの在任期間
※1988/8〜2008/8までの20年間の在任者数
日本にいる我々の中では余り意識している人はいないようですが、こうしてみると、日本の総理大臣は、まさに『使い捨て』であり、満足な仕事など出来るわけが無いのが良く解りますね。
それに比し、他の『まともな政治の国』では、やはり最低数年は在職しているのです。 政治不在などとよく言われますが、その大元の原因がここにある事は明らかでありましょう。
☆また、それに輪をかけて悲惨なのが、各省の大臣の『はかなさ』です。
日本の省庁のうち、過去からの各省の歴代大臣の数を同期間で同様にカウントして見ます。
※1988/8〜2008/8までの20年間の在任者数と平均在任月数 (留任は継続カウント、期間をおいた再任は別カウント)
これらの平均を取ると、20年間で23.9人、一人当り在任は0.84年(約10ヶ月)ということになり、まさに『日替わり定食大臣』の状態なのです。
特に無残なのは、不祥事大臣の続いた農林水産省や、法務省、文部科学省そして厚生労働省で、いずれも任期は10ヶ月以下。まさに『コンマ以下』の大臣さん方であり、平均1年以上在任しているのは、わずかに外務省と財務省のみという体たらくです。
外国政府から、『日本の大臣が誰なのかさっぱりわからん』、とか『誰がなってもまったく一緒』と言われてもやむをえない状況であります。
そして、彼等『日替わり定食さん』の下で働く官僚の人達にしてみると、まさに『ええかげんにせい!』と言いたくなるでしょう。
その分野のエキスパートでもない人間が、自民党の党利党略のお遊びによって選ばれ、場合によっては挨拶回りの済まぬ間にそそくさと代わって行くのですから。また特に、最近不祥事で歴代が辞任させられた農林水産省の人などは、全くやりきれない話だと思います。
だから、『今の日本は官僚が牛耳っている』という論は、実際には『責任者がいないと同じ状態だから官僚が好きにせざるを得ない』という事であり、政治家連中が『天下り防止』などと叫ぶ前に、先ず『大臣の任期をまともに務め上げること』が先なのです。
サラリーマン経験のある筆者には良く解る事ですが、誰も人事権の無い上司の言うことなど聞くわけはありません。勿論、すぐ転勤してゆく上司に対しても同様です。 以前、田中のおばさん(田中真紀子元外務相)が、省内でいくら金切り声を張り上げても誰も言うことを聞かなかったのは当然のことなのです。
若し各省の大臣に、実際に人事権を行使できるだけの実力と在任期間があれば、今の行政システムでは、現在言われているような『官僚主導』にはなりようが無いのです。
要するに、今の役人天国と言われている状況を作り出したのは、他ならぬ自民党を中心とした派閥政治にその元凶があることになるわけです。長年、大臣の椅子を、年寄り向けの勲章代わりに使ってきた今の自民党のやり方に対し、今度の選挙で国民の鉄槌が下される事となるでしょう。
もうそろそろ、総理も各大臣も、『使い捨て』や『日替わり定食』をやめ、課題山積みの日本社会に対し、実力を発揮できる人材と体制で臨むべき時であると思います。
日本の各大臣は、少なくとも4年以上継続して務めさせるべき!
※日本の憲政史123年間で、通算で4年以上務めた総理大臣は今までに7名しかおらず、他国に比し昔から比較的短命な傾向にありましたが、そろそろこの政治パラダイムを抜本的に変革すべきときではないでしょうか。 そのためには、十分な矜持と責任感を持った適材が必要ですが、一方で、長期的な展望に立ったものの見方が国民の側にも要求されることとなります。
ワイドショー政治や人気取り政策は、いいかげんもう終わりにしたいものです。
追 記 : 2009年1月27日の朝日新聞朝刊のコラムに、現在の大臣のレベルについて、同様のコメントが載っておりました。
片山善博・慶応大教授(前鳥取県知事)の、あるシンポジウムでの発言に
『いまの日本では、ほとんどの政治家は官僚の手のひらで踊らされている。大臣といえども実際には、税務署や警察署の催しで、タレントがたすきを掛けて演じる 一日署長 のようなものだ。 一日署長はお飾りだから人事や政策に口を出したら、署員たちは腰を抜かすだろう。官僚の振り付け通りに動くのが「良い大臣」で人事や政策に口を挟むのは「困った大臣」といわれる。』
云々、とあったそうです。
片山氏は元官僚、旧自治省の出身でもあるそうで、ま、誰が見ても現在の日本の閣僚任命システムには、根本的な欠陥があることは明らかなようですね。