またも大規模人員削減の嵐! このツケは10数年後に 2009/ 2/ 6



☆昨秋の米国リーマンブラザーズの破綻に始まった世界経済の混乱は、昨年末から今年にかけて、世界的な規模で人員削減の嵐を巻き起こしており、各紙に『○○社も人員削減』の文字が躍らない日はない程の状況になっております。

◎日本国内大手では、ざっと主なところだけを挙げても   

 パナソニック 15,000人
 NEC 20,000人
 日立 7,000人
 ソニー 16,000人
 トヨタ 6,000人
 三菱自動車 1,100人
 日本IBM 1,000人
 三井金属 4,000人

 などと新聞に大きな活字で載っております。(正規社員、非正規社員双方含む)
また勿論、製造業だけでなく、金融関係各社も、みずほ証券や野村ホールディングなど、世界中で大規模なリストラ予定と報じられております。


◎そして今回の金融危機の震源地であるアメリカでも、それ以上の人員整理が進行しつつあり

 キャタピラー 20,000人  
 サーキット・シティ 34,000人 (会社清算)
 アルコア 15,200人  
 GE 11,000人  
 ボーイング 4,500人  

など、本年年明けからの1ヶ月弱で、13万人以上の各社の削減計画が発表されました。
アメリカの就業者数は昨年1年間で約259万人も減少し、第二次大戦後最悪の雇用情勢となっており、今後半年以内には失業率が10%を越えると見られており、その状況を打開すべくオバマ新大統領は『グリーン・ニューディール政策』をぶち上げ、以後の2年間で400万人の雇用創出を掲げて、大型景気対策の実施を急いでいますが、それがどこまで奏功するのか、全く予断を許されない状況です。


 バブル崩壊以降、国際競争力強化の大義名分の下に、特に小泉政権が進めてきた『労働市場の規制緩和』の結果によって、現在の日本の労働人口のうち、『正社員』のウエイトは60%前後にまで減少しており、残りは『非正規労働者』が占めるまでになっております。
これは、企業の側から見た場合、労働者の非正社員化を進めることによって、今回の非正規労働者切捨ての如く、結果として安易に雇用調整が可能となり、会社のフレキシビリティを高め、容易に利益確保ができるようになりました。 ネームバリューが高く、正規非正規を問わず人を集めやすい大企業ほど、このメリットを享受できています。
 しかし、日本全体で見た場合、ゼロサムの法則からいっても、これは日本の労働者全体の収入が減少することを意味し、そしてそのしわ寄せが、先ず非正規労働者に行き、次に定年間近の管理職などに行くわけです。またこのことは同時に、社会のセィフティネット費用、つまり社会保障費が増加することでもあり、結果として、

 労働市場の規制緩和とは『企業が、国民と国家から所得を収奪』することであると言えるのです。

もちろん、その非は各企業ではなくそれを看過した政府の無策にあると言えるでしょう。
『内需拡大』という掛け声とは全く逆の政策を今まで採ってきた政府の迷走のツケが、ここにきて大きな国家的課題として浮上してきたわけです。


 今現在の世界経済は、ここ数年の伸張の時期から一転して縮退の時期に入ったと云えるかもしれません。
しかし、特に日本の恥も外聞も無いリストラの進め方については、異常としか言いようが無い実情でありましょう。
現在の日本の人口は2007年から減少に転じており、団塊の世代の大量退職が始まった同年度(2007年問題などと言われてましたね)以降、今後、国内の就業可能人口は否応無く減少してゆくのは目に見えているわけです。

 つまり、あと10年もすれば日本は絶対的な『人足らず』の時代に突入することは物理的に必定であり、サルにでもたやすく解る事なのです。

 2008年に人口3億人を突破したアメリカは、移民の流入などによっても人口は継続して増える構造にありますが、日本は、今のままの流れでは、人口は今後はずっと減る一方なのです。 国家の活力の源は、やはり人口、特に若年人口にあることは明白であり、その流れからいえば、このままではアメリカの景気は早い時期に回復しても、日本の景気はずっと落ち込んだまま、ということも考えられる訳です。
 ⇒ (この問題については自説『少子高齢化問題について 政府はもっとアイデア出して考えるべき !』を参照ください(^^ゞ)

 その事を知ってか知らずか、特に大企業のなりふり構わない人切りのツケは、遠からずその企業自身の活力低下となって現れ、人材不足が致命傷となるのは確実のことといえるのですが。
各企業の中で、特にしっかりしたオーナーの頑張っている所は、人員の首切りにはそれなりに慎重な動きを見せている模様ですが、サラリーマンCEO(俗に『雇われマダム』と呼ばれている人達)が幅を利かせている会社、中でも特に金融系の出向役員の権限が強い所は、やはり短期的な物の見方しか出来ず、ほぼ例外なくその場限りの『人材の使い捨て』に走っているのは、むべなるかな、でありましょう。自分の任期の間だけ会社が保てばそれで良い、という意識の役員ばかりがいる会社の社員は、早めに自らの職場に見切りをつけねばなりますまい。

 大企業といえば、今までは人材確保についてはずっと買い手市場であった訳ですが、この時期に人の使い捨ての姿勢がバレバレになった会社は、将来において必ずや手酷いしっぺ返しを食らうこととなるでしょう。それは、市民から見てその社員になりたいか否かということだけでなく、消費者としてその企業をどう評価するかということにも関わって来るわけです。
温かみの感じられない企業は、市民からも同様な扱いを受けることとなり、その企業自体が世の中から使い捨てにされ淘汰されるのはまた必然のことと思われます。

 人を使い捨てにする会社は、その会社自体、社会から使い捨てにされる!






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