高速道路のETC割引について  野放図な国の道路政策をどう変えるべきか  2009/ 5/ 8



☆長い2009年のゴルデンウイークも終わりましたが、この連休中の高速道路は、政府が決めたバラマキ経済対策の一環としてのETC大幅割引の影響もあって、全国各地とも大変な混雑となってしまいました。 この2年間に限り、土日祝日にETCを使えば、都会地を除いて最大千円で乗り放題という施策は、確かに景気の冷え込みによる遠出の減少を防ぐのに効果はあったようです。 しかし業務用のトラックなどに割引はなく、あくまでレジャー用としてのバラマキです。 ホレ遊べ!ホレ金使え!って、なんちゅう政府じゃ!

 自民党政府は、景気対策という名目でこの休日乗り放題を期間限定で打ち上げました。
しかしなぜその為の費用として、国民は2年で5000億円も高速道路会社に支払わねばならないのでしょうか。

 他の世界各国の高速道路の料金体系をざっと調べてみますと、いずれも日本より『べらぼうに安い』事が判ります。 逆に言えば、日本の高速料金が『不当に高い』という事となります。
その原因としてこれまで言われてきたのは、『まだまだ日本の高速道路網は完成しておらず、日本全国に網が張り巡らされるまで、利用者全体に負担させる。そのために、償還の済んだ高速についても、ずっと有料とする』というものでした。つまり、北海道の高速を造るのに、九州や東京、大阪などの都市部の人達にも、全て一律に負担させるという理屈です。

 この受益者負担という考えについては、一面納得の出来るところです。高速道路の建設費用を全て税金で賄うとすれば、車を利用しない人にも負担を強いる事となり、やはりそれは不公平と言わざるを得ないところでしょう。
しかし良く考えてみると、彼等の理屈は途中で完全な自己撞着に陥ってしまっている事が判るのです。
一生、北海道の高速道路を走る事のない人も、どこかの高速を少しでも走った場合、そのツケに付き合わされてしまうのですから。
本来の受益者負担とは、当然その道を利用する人達に『のみ』負担してもらう事の筈です。阪神高速などが別料金体系となっていて比較的安いのは、独立して運営しているからなのです。

 それを意図的になし崩しにして、自らの利権温存の為に、未来永劫絶対に償還できない、タヌキくらいしか通らない『タヌキ高速』などをこれまでずっと粗製濫造してきた『道路議員』や国交省の幹部官僚、NEXCO幹部などは、固有名詞を明らかにした上で、厳しく糾弾されねばなりません。

 しかし日本の高速が不当に高いのは、その為だけではないようです。今のNEXCOの運営コストについても、これまたべらぼうに非効率と言わざるを得ません。 道路メンテナンス業務のファミリー企業等への丸投げや、ETC利権の問題など、道路賊や国交省利権などとの癒着により、『企業』としてあるまじき体質となっており、そのしわ寄せを全て利用者に負わせているのです。 少なくとも日本においては、高速道路は国民の為のものでなくなっているのです。

 世界各国の高速道路料金比較
 
 ※1ユーロ=約130円として計算

 他の国々では、道路の位置づけについて、それを国民全体のインフラと捉え、日本のような利権の対象とはなっておらず、ほぼ妥当な料金となっている事に改めて気付かされます。

そうでなくても ※税金まみれの高いガソリン をまいて走っているのに、なぜその上にプラスして高い金を払わねばならないのでしょうか。
 これは以前から言われているように、完全な人災→『道路賊議員公害』以外の何者でもないのは明らかなところでしょう。


 ただ、今の民主党が言っているように、高速を全て無料化にするのは時期尚早というべきと思います。やはり高速道路を使う人達や企業の『受益者負担』を大原則とすべきです。

 まず、今の全国高速道路会社に対し、現在の割引に対する国の負担を”0”とし、道路会社自身のリストラと合理化によりその原資を生み出さしめるべきです。
2年間で5000億円の経費節減を求めるのは、彼等の経営努力に対する試金石となる筈です。 むしろその位の事が出来なければ、NEXCO幹部全員を、民間人と総入れ替えせねばなりますまい。

 次に、抜本的な料金体系の見直しを行い、携帯電話の料金体系ような訳のわからん複雑な『しみたれ割引』は全てやめさせ、一律の大幅な割引体系とすべきです。

具体的には、ETC利用を大前提として、現料金体系の『8割引』程度とすべきでしょう。 つまり現行の20%くらいの料金とするわけです。

道路のメンテは全て競争入札とし、またETCの利用を大原則として有人ゲートを全廃し、それらにより大幅な経費削減を実現させるのです。
それでやっと、世界の『開発途上国並み』の料金体系になるわけですから。

 勿論、各会社の減収については、その範囲内で高速道路会社に責任を持って経営させるべきです。 そしてそれが実現した時点で、日の丸会社時代から続いてきたムリ、ムダ等が解消され、並行して国交省絡みの利権なども消滅するはずです。 勿論その大前提として、彼等に新たな高速道路建設の負担は求めないことは言うまでもありません。

 今回の自民党が主導したヤケクソバラマキ予算で、またぞろ凍結していた高速道路網の予算が復活した、といいます。 しかし、過去の高速道路の需要予測で、それを上回った実績を上げている道路は殆ど皆無といいます。 またも国交省やNEXCOは、『国立サギ集団』と化すのでしょうか? もういい加減にしてほしいですね。

 国土交通省は、過去の高速道路の需要見通しと実績との乖離について、その責任の所在を全て明らかにすべし!


※現在ガソリンにかかっている税金 (1リットルあたり)
 ○ガソリン税53.8円 (揮発油税48.6円・地方道路税5.2円)
 ○原油関税0.215円
 ○石油税2.04円
 計56.055円
 これにプラスして、総金額×5%の消費税がかかる、つまり税金の二重取りを国税庁は平気で行っている事となるのです。
 (1リットルあたり 56.055円×5%=約2.8円が、税金のタダ取り部分です)





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