普天間基地問題を政治問題にすり替える愚挙   2010/ 1/20



☆民主党への政権交代に絡み、昨年秋口から課題となっている、沖縄普天間基地の移転問題ですが、昨年末に鳩山総理が先送りを表明し、未だ囂しく世上を賑わせております。
本来、旧自民党政府と米国政府の間で決着のついていたことだったはずなのですが、特に連立相手の社民党などの強硬な態度により、政権交代以来ずっと暗礁に乗り上げてしまっており、本格的な決着はおろか軟着陸の目処さえ立っておりません。

アメリカ側にしてみた場合、この話は一方的に日本側が自己都合で『蒸し返した話』でしかなく、支持率低迷に喘ぐオバマ政権にとっても、この件で日本との不協和音を世界に印象づけ、また実際に日米関係がギクシャクしていることは、相当なマイナス要因になっているはずなのです。

しかし、両国政府の見解の食い違いの中身を見た場合、そこに抜本的な考え方の相違が見受けれます。

アメリカ側から見た普天間基地の移転問題は、ほぼ純粋に『軍事戦略上の問題として一貫して認識しており、沖縄の米軍基地が、東アジアの安全保障上における抑止力としての役割を、最も効率的に果たせるべく検討した結果であり、この件に他の要因を絡ませる必然性を認めていないわけです。

 一方日本側は、この普天間基地移設問題を、ほぼ100%『政治問題』として捉えており、身も蓋もない言い方をするなら、国内政治の駆け引きの道具としてしか認識していないと思われます。特に民主党が『仕方なく』連立相手に選んだ社民党は、これを鳩山政権に対する『踏み絵』と位置づけ、また自らのレゾン・デートルとして、強硬な態度に終始しております。

建前論としては、自民党を含めていずれの党も、地元民の意向重視を標榜してはおりますが、本音としては党利党略最優先が見え見えであり、基地問題を政治駆け引きの道具として扱い続けているわけで、このスタンスはどの党も全く代わりは無いようです。
 そしてそこには、日米安保条約の基本である、日本の安全保障問題と東アジアの安定をリンクさせ、日本が領土の一部と相当の資金を米軍に貸与提供し、核の傘を含めて、日本を守ってもらうという『日本の防衛戦略』上の視点が完全に欠落しているとしか思えないのです。

『グァムに移転させろ!』とか『本土に来させろ!』などと、軍事戦略の観点から見て、全くトンチンカンな素人発言が、相次いで『大物政治家』から発せられるのは、いかに日本人が平和ボケしているかの国辱的サンプル以外の何者でも無いのです。
 (政治家は軍事の素人だから仕方がない、等という無責任な弁護は、国政に責任を持つ者に対してのスタンスとしては、全く通用しません)

 この、基地移転問題の最適解は、自民党の肩を持つわけではありませんが、鳩山政権以前に決定していた『当初案通り』が、基地本来の存在意義を含め、軍事戦略上において最も正解であると確信できます。

 繰り返しますが、『基地の移転先問題は軍事上の問題であり、断じて『政治問題』とリンクさせたり『党利党略』に利用したりしてはいけないのです。 社民党のオバサン党首がいかに金切り声を張り上げようと、日本の安全保証と国益を守るためには、絶対に妥協してはいけないのです。

一方で『米軍基地は全ていらない!』という論議もありますが、その論を煮詰めていった場合、自主防衛の方向を是とした時、国を丸裸にして日本を『ならずもの国家』のキャッシュディスペンサーにして構わない向きは別とし、真面目に国防を考えたときには、核武装を含めた大規模な軍事予算の確保が必然となってくることは間違いないことなのです。

この、自主防衛か米国との安保条約かという問題についての選択を行うのは、アメリカでなく日本自身であり、日本国民が自ら選んでゆく道なのです。むしろ日本が自主防衛を選択した方が、米国にとっては核ミサイルを含め、最新兵器をより沢山日本に買ってもらえる事にもなり、歓迎すべきことなのかもしれません。

 一方で、小沢一郎氏を中心にして、民主党政権がアジア重視の外交姿勢を打ち出している、といいます。 『小沢ドクトリン』なるものがあるのかどうか知りませんが、アジア重視はまあ良いとして、一部で言われているように、『米国と中国との等距離外交』などという考えについては、一方が日本を守ると約束し、片方が日本に核ミサイルの照準を向けている現状を見た場合、『何を考えているのか?』と首を傾げざるを選ません。

いやしくも一国の舵取りを行おうとする者は、物事の優先順位をきちんと明確にし、国民のコンセンサスを得る努力を怠ってはいけませんし、そこには物事のというものが存在しなければならないのです。

 沖縄の基地問題については、地元の負担や国辱感などに対する配慮は必要ですが、基本的には日本が自ら選んだ『国防戦略』に纏わる課題であり、比較的安上がりに自国の安全保障を確保出来ているための代償に他なりません。
 これを徒に国内の政治問題に矮小化する愚は絶対に避けねばならず、このことでアメリカと揉めることは、先方に対しても『失礼』に当たる行為ではないでしょうか。
双方が納得、合意し、契約書を交わしたあとで『社長が変わったから、以前の契約は破棄してくれ』等と言うのと同じことなのです。これは民間の会社でもご法度のはずですよね。
『なんと非常識な!』と先方に馬鹿にされても仕方ないことなのです。

 結論、最も現実的かつ総合的な国益につながる結論は、やはり『当初案通り』とすることしか有り得ないのです。
勿論、そのために社民党を切り捨てることにも大賛成です。


 このことについて、丁寧に国民に説明すると皆納得するのではないでしょうか。

私だったら、あるいは、大方の政治家だったら、この問題に関しては

 『本来民主党は県外移転を行うべきと考えるが、国際信義上の問題もあり、旧自民党政権が米国に約束した内容を実行に移さざるを得ない。悪いのは旧自民政権です!』

とでも開き直って、サラリと流すんですけどね。


 鳩山イニシアティブは、こういう問題で発揮すべきなのだ!





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