管内閣の終焉? 尖閣諸島問題とチャイナ・リスク   2010/ 9/25



尖閣諸島への領域侵犯問題で、とうとう那覇地検が独自判断で、容疑者の中国人船長を釈放したというニュースが流れました。

 
これまでにも胡錦濤政権は、尖閣諸島に対して強引に領有権を主張し、様々な強圧的態度を取ってきました。
今回の漁船の衝突事件もその一環な訳ですが、今回は、本来は単なる民間人の拿捕問題を、様々な外交カードを駆使して、強引に外交問題として俎上に上げ、従来からの覇権主義を顕わにしてきました。

当初、日本のマスコミの論調は、新米の管政権のスタンスを『試している』というものでしたが、先方国内の反日感情のあおりに押されて、胡錦濤政権は、ヤクザまがいの挙に打って出るまでにエスカレートしてしまいました。

 今回のことで、我々日本人や、この件を注視していた諸外国が学んだことは、やはり中国共産党政権は『まとも』な相手ではなく、付き合いに警戒を要する要警戒国であることが改めて認識できたと言えるでしょう。

今までの経済発展に隠されていた本性が、改めて浮き彫りにされたわけです。

 ASEANなどの近隣諸国や米国なども、今回の彼の国のゴリ押しについては、通常の外交カード/手練手管のレベルを大きく逸脱した、異常なやり方であったことが理解出来た筈であり、島の領有を巡って同様のイチャモンを中国につけられているベトナムやフィリピンなどは、一層警戒感を強めたと思われます。

 周知の如く、そもそもこの21世紀において、共産党の一党独裁政府など、殆どあり得ないことなのです。
20世紀において、『人類の壮大な思考実験』として行われた、所謂『共産主義革命』の結果は、その内在する根本的な欠陥が誰の目にも明確になり、1991年のソビエト崩壊を端緒として、社会主義思想は、人類文明において明確に否定された筈なのです。
そして現在世界に僅かに残っている社会主義を標榜する国々の殆どは、実際の中身は換骨奪胎されたものでしかありません。


 別項にも書きましたが、共産主義思想はその大元に『被害者意識』を必然的に内包しており、誰か他者を加害者/悪者に仕立て上げねば、その思想や政権の根幹が成り立たないのです。

 ◎我々は被害者=善であり、誰か他者は加害者=悪である。
 ◎我々は正義のために立ち上がり、悪を打倒するために『戦う』。
 ◎その担い手である共産党政権は、絶対の善である!

という三段論法?で、特に貧富の差が大きく植民地化されていた開発途上国において、相当な支持を得てきました。 しかしそれらの社会がある程度豊かになり、同時に社会主義特有の欠陥が明確になった段階で、人々はその思想を捨て去ってきたのです。

 以上のように、必然的に社会主義思想は、『常に敵を必要』とする思想なのです。そして中国においては、過去において、自分達共産党政府を正当化するため、殊更『反日』教育を国民に課してきた歴史があります。
戦後ずっと、莫大な有償無償の経済援助を日本は中国に対し行ってきましたが、おいそれとその洗脳は解けるはずもなく、ことあるごとに反日デモが繰り返されてきました。そして結果その矛先は、実際に矛盾を抱えそれを放置してきた彼等中国政府自身に向かうこととなり、彼等はそれを十分に認識しているために、余計に日本に対して強硬な態度を取らざるを得ないことは、広く衆目の知る所です。
 ある程度の反日デモなどは国内のガス抜きとして放置する。しかし、ある一線を越えて政府に矛先が向かいそうになった段階で、弾圧して収束させる。日本に対しても、一面強硬な態度に出るが、落とし所を考えた流れで処理しようとする。過去はその繰り返しで来ておりました。

 しかし今回の中国政府の取った行動は、その一線を越えたものであり、何か彼の国の内部で、大きな変動が起こる予兆として捉えられるのです。

上海万博が10月に終わり、その後チャイナバブルが崩壊するとの観測が経済界を中心として流れております。
また、中国国内のジニ係数(貧富の格差を表す数値)は0.48と、危険水準と言われる0.4を、10年以上継続して大きく上回っており、あわせ、一部の公務員に権力が集中した弊害として、合法/非合法スレスレの『灰色収入』問題なども中国国内で深刻化しており、格差をより広げる原因となっている、といいます。
このような、一党独裁政権というものの欠陥に起因した課題を、現政権が抜本的に解決することは不可能と見られ、巨大な時限爆弾が時を刻んでいるのは間違いないことであり、それが爆発するのは間近であると思われます。

 勿論、彼の国の13億の人口を一つに纏めるためには、相当強圧的な国内政策/態度を採らねばならない事は理解でき、現胡錦濤政権は過去の為政者に比しては国際協調など、比較的良くやっているようではありますが、それももう限界に近いと思われます。 何か大きな経済変動や天変地異などが起きた場合、それを切っ掛けとして、一気に中国国内情勢が流動化する可能性は高いと思われます。

 地球全体の1/5の人口を抱える中国のあるべき姿としては『シナ合省国』の如く、外交と国防のみを中央政府が担い、それ以外は全面的に各地方に主権を与える、地方分権制がより妥当と思われます。(米国のイメージに近い)
あるいは、一部の方の説にあるように、ソ連が崩壊して幾多の国に分裂した如く、7つ程度の主権国家(かつて秦が強引に中国を統一する以前の状態のイメージですかね)に分かれた方がモアベターかも知れません。 ウイグルやチベットなど、もともとは別の民族ですし、旧ソ連と同様、それらの独立要求を強引に押さえつけている訳ですから。

 近い将来に生起するであろう、彼の国の国内混乱に日本が巻き込まれないためにも、ここで我々が中国の特殊性『チャイナ・リスク』をはっきり認識し、特に経済において、中国シフトを抜本的に見直し、かつてのソ連に対する如く、醒めた態度で彼の国に接する必要があり、今回それを我々が改めて認識することができた、と言う意味では、今回の中国の強圧的な態度も、日本にとってプラスである、と言えるのかも知れません。

貿易やレアアースなど、やはり国策として、一極集中は厳に慎むべきでありましょう。
最早、彼の国は世界の工場などではなく、技術漏洩のリスクの方が大きくなっているのは、周知の事実なのです。 新幹線などもパクッて、『自国の技術だ!』などと強弁してるし。

早急に手仕舞いをして、もっとまともな他の国と懇意になるべきでしょう。



 しかしそれと合わせ、現民主党政権の無自覚・無定見・無節操・無策の『4ム』ぶりにはあきれるばかりですね。

国家としての大変重要な課題を、一地方の『司法判断』に押しつけて、政府は国民に対して逃げられるとでも思っているのでしょうか?
記者会見した仙谷のオッサンのあっけらかんとしたアホ面とマヌケな見解には笑ってしまったし、岡田居士の無定見な同調発言にも唖然としてしまいました。
外務省あたりが水面下の交渉で、別の懸案で中国政府に極秘の大幅譲歩を認めさせた、などの秘密取引があったなら大したものなのですが、今の政府首脳にそんな芸当の出来そうな人物も格別見あたりません。

 先日の、前田特捜検事の証拠改竄事件については、日本の司法部門の『組織劣化』が明白となった事件でありましたが、今回の件については、政権与党の『外交判断のシロウトへの丸投げ』若しくは『無策逃げまくり』であり、政権そのものが、3権分立原則を無視、ないし踏みにじった訳です。
やはり日本においても、今回の尖閣諸島問題は大きな傷跡を残したこととなります。

 外国にもナメまくられている管政権の命運は、国内においても大きな禍根をのこし、ここに尽きたといえるでしょう。

 こんなに無責任な管政権って、シャドウ・キャビネットだったのか!

 そして、誰も相手にしなくなった....








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