福島原発事故をチャンスに! 核融合開発こそが、今の日本がやるべき事! 2011/ 4/15
☆3月11日の東日本大震災によって壊滅的被害を受け、放射能災害の復旧復興に天文学的費用が想定されている福島第一原発の事故ですが、現地での被害とあわせ、世界一安全と言われてきた日本の原発の、自然災害に対するあっけない程のもろさに衝撃を受け、世界各地では、あらためて反原発の動きが加速しているといいます。
かつて旧ソ連で生起した史上最大の原発事故であるチェルノブイリとは別の観点から、福島の災害は大きな注目を集めているようです。
日本発のこのショッキングな出来事によって、今後の人類社会のエネルギー確保において、原発の危険性という大きな難題が持ち上がっております。
しかし今現在、世界各地の過剰ともいえる反応に比べ、日本人自体の反応は比較的冷静なものであり、徒に原発を忌避したりただ反発したりするのではなく、今後の原発行政の在り方については、推進と廃止の賛否がほぼ拮抗している、といいます。
ま、過去二度の原爆の惨禍などを経て、日本人はこういった点については相当大人になった、と言うことなのでしょう。
しかし日本国民の冷静さに比較して、菅政権の事故対応はあまり毅然としたものでなく、また今後の日本のエネルギー政策についても『自然エネルギー』を主軸に持ってゆく、などと訳の解らんことを総理発言として宣うレベルであり、この点について、菅さんは全く何も考えていないということが白日の下に晒されました。
確かに太陽光や風力発電、地熱や波力発電などの自然のエネルギーを利用して発電すれば、基本的にはCO2の発生もなく、一面理想的なエネルギー源ではありますが、反面、いくらそれらに力を入れたとしても、到底、今の国内のエネルギー需要の相当部分を満たす主力とはなり得ないことは、過去から数理的にも証明されてきたことなのです。
今までに発表された、まっとうなエネルギー政策の内容においては、自然エネルギーのウエイトはせいぜい5%位が限度となるとされておりました。 それを一気に原発の代わり、つまり少なくとも3割台に持ってゆくことは、どこをどう計算しても出来ない事であり、いかに菅氏が口から出まかせしか言っていないかの証左でしかないのです。
では将来、原子力に変わる、主となり得るエネルギー源は何か、と言われた場合、これは過去からの筆者の持論でもありますが、それは『核融合』しかあり得ないのです。
しかし別項にも書いたことですが、このままの推移だと、その実用化は早くてもあと20年位はかかるとされているのです。
ただ70億人を超えなんとする今の人類がそれまで待てるか、というと、非常に微妙なところであり、特に今回の原発事故によって世界各国の原子力政策が大きく後退する可能性もあり、その場合でも、それに代わるものが当面見つからないという現実も厳として存在するのです。
一部では、オイルシェールやメタンハイドレートなどの新たなエネルギー源も取りざたされてはおりますが、それらは全てCO2排出と引き替えでなければエネルギー源とはなり得ず、環境問題が避けては通れないのです。
そしてそういった『燃焼系』のものに頼らざるを得ない間は、人類の全てが豊かな暮らしを享受するこためには『地球数個分』の環境問題を解決せねばならないことであり、到底不可能なことなのです。
今回の事故によって、やはり原子力は人類のエネルギー源としては『つなぎの技術』でしかなかったことが明らかとなったといえるでしょう。
これは筆者が以前から言って来たことでもあり、また最近になって元東大学長の小宮山宏氏も同様の表現をしていました。
但し彼は、21世紀は自然エネルギーの利用が主となるとの見方ですが。
核融合技術の開発こそが本命であるということは、一部では過去からずっと言われてきたことであり、今までプルサーマルとか高速増殖炉などの原子力開発に隠れて、国内でも余り表立って議論されてこなかっただけのことで、本来は、ここであらためて人類としてのエネルギー開発の真打ちとして、取り上げられるべき事なのです。
しかし残念ながら、まだあまりそういった発言が聞こえてきません。原子力の限界が明らかとなった今、なぜこの核融合エネルギーの開発に、皆目を向けないのでしょうか。
冷静に考えてみれば、今後人類が継続的に発展し、世界中の全ての人々が豊富にエネルギーを利用できるようになるには、核融合発電しか手段がないのは明らかなのですが。
今現在、世界で核融合の実用化の為に支出されている予算は、世界の軍事予算のわずか千分の一以下でしかないのです。
若し仮に日本だけでも、たとえば国内のガソリン暫定税率を全額、核融合の実用化に向けたエネルギー開発に充当したとしたなら、たぶん、10年以内にはその実用化の目処をつけられるのではないでしょうか。
要は今現在、核融合炉の実用化に必要な基礎技術はほぼ全て出尽くしており、あとは予算をかけてそれらをより洗練したものにし、具体的総合的にくみ上げてゆくことだけなのですから。 そしてそれが技術立国日本の面目躍如となることは明らかです。
今、EUや日本など7カ国が中心となって進めている核融合実用化国際プロジェクトの、イーター(ITER)にしても、現在の予定では、2027年に初めて実用化の目処をつけるというものであり、何とも悠長なとしか言い様がないスケジュールなのです。
そんな暇、人類にあるのでしょうかね?
自然エネルギーの利用を考えるのも、それはそれでリスク分散の意味においては必要なことだとは思います。
しかし人類社会は、メインディッシュをいつまでも放っておいて、前菜やデザートのほうを一生懸命作ろうとしている素人シェフのように思えて仕方ありません。
今こそ人類社会は、嘗て米国がその技術力やインフラ、予算や威信を全て注ぎ込んで、僅か10年程で人類を月に送り込んだ、あのアポロ計画の如き集中的な取り組みを、核融合技術の開発に対して行うべき時なのです。
今回の福島原発事故を最大の教訓として将来に生かすべき我が日本国が、民主党政権の迷走と無節操によって、そのエネルギー政策も含めてあらぬ方向へ流されてしまいかねない、という気がしてなりません。
ポスト原発の切り札は『核融合』しかないのです!
日出ずる国日本が、本来の太陽のエネルギーである核融合の実用化に向けて取り組むことこそが、『フクシマの悲劇』を教訓として生かす、一番の手段だと思います。
本当はこんな事、科学者の人達からもっともっと声が上がってもいいんですけどね。