デフレと円高はこの手で退治すべし! 現代日本の最大課題の抜本的解決策  2012/2/ 2



☆ご承知の如く、平成24年も2月の声を聞いた現在においても、依然として円相場は各国の通貨に対して相当割高な傾向にあり、また国内においても十数年に亘る継続したデフレは、未だに収まる気配を見せておりません。
これらの原因と対策については、過去から専門家各氏も色々と述べてはおりますが、概して複合的な要因が重なったものであるとの、解ったような解らんような見解であり、また納得性のある解決策を具体的に示してくれている論は、残念ながら殆ど見当たりません。

円高の要因として、一般的に挙げられているものは
◎世界全体の経済も、ギリシャ危機に端を発したユーロ不安とヨーロッパの経済減速、米国はリーマンショックから立ち直っておらず景気の牽引力とはなっていない、またこれまで顕著な経済発展を見せていた中国についても、不動産バブルの崩壊や不公平不公正の顕著化による社会不安の増大により不安定さが極大化してきており、そして他の新興諸国についても、先進国の景気減速のあおりを受け経済先行きに陰りを見せてきている。

要するに、それら不安定要素からの消去法によって、比較的安全とされている円が買われ続けている。
また過去からの経常収支の慢性黒字により、相対的に円の価値が上がってきている。
以上の要因だとされております。


また継続したデフレの要因としては
◎長引く不況と円高により、格安な輸入品の流入が続き、国内では産業の空洞化により雇用機会が失われ、それにより人件費の下落と失業率の上昇がもたらされ、一層の過当競争によって国内物価は低く抑えられたままとなっている。

また長引く不況などで国内の生産能力に見合った需要が立ち上がってこない、つまり『慢性的デフレギャップ』により、構造的に、望ましい穏やかなインフレが起こり得なくなっている。 といいます。


ここで1990年から2010年にかけての20年間における、各国の物価上昇率を見てみることにします。

当該期間中の日本の物価上昇率は、約108%と殆ど変動がありません。しかし同期中に米国は約165%、EUも約160%と、何れも年率で2%〜3%程度の穏やかなインフレを達成しております。

そして同時期での世界平均の物価上昇率を見てみると、特に新興諸国のインフレ率は比較的高い状況にあり、先進国以上に物価は上昇しております。 
 (資料:http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/4730.html を元に算出)

やはり日本は、世界に比べて5割以上も物価が伸びておらず(即ち顕著なデフレ)ということはそれだけ日本円が『濃縮されている』事になる訳なのです。

本来は、今現在1ドル120円程度が適正な為替相場であるにも関わらず、80円以下でずっと推移しているという事は、とりもなおさずこのインフレ率の差によって『円が濃縮された結果』であり、今の円相場に過去のインフレ率の世界との差異(インフレ率のギャップ)を掛け合わせると、今の円高の説明がきっちりついてしまうのです。

このように、今の日本の大きな課題である円高とデフレは相互に密接に関係しており、これを一つづつ個別に解決する事は、本来は無理な事と思えてしまいます。



先日の報道で、平成23年度において、日本の貿易収支が31年振りに赤字となったとされておりました。
ただ、海外投資や知財収入などを含めた経常収支においては依然として黒字をキープしているそうです。
日本が現在海外に持っている資産は、国内GDPの半分程度の200兆円以上もあり世界一となっております。つまり世界一の債権国なのですが、そのような実感は、国民には全くありませんね。


この現状について、一言で言うとどうなんでしょう。

筆者にいわせると、過去日本人が海外で稼いだおかげで国内は豊かになった筈なのに、その財が国内で『濃縮』されただけで終わっており、国民はみんな『濃すぎる水』の中でアップアップしているだけのように見えて仕方ありませんね。 せっせせっせ継続して外貨を稼いだおかげで円高が解消されず、過度に安い海外製品のおかげで国内はずっとデフレのまま、といった状態が、ここ十数年続いております。 各企業がそれぞれ一生懸命外貨を稼ぎまくった結果、トータルでみた場合、過去の歴史になかった類の経済現象が生起してしまっているのです。 つまりまさに『合成の誤謬』の見本ですね。

日本人は自らの手で円の価値を必要以上に濃縮しすぎており、それがために逆に『貿易立国日本』として必要な適度な円相場から乖離させてしまったという見方ができるわけなのです。



そして、そうであるとするなら、逆に解決策としては、実に単純明快な事なのです。

 つまり『円の価値が濃すぎるなら、薄めてやれば良い』訳です。

やはり基本的に日本人は勤勉で実直なのでしょうね。どこかの、Gのつく国と足して二で割れば丁度良いのかも知れません。何事にも、過ぎたるは及ばざるが如し、という諺を再認識する必要があるようです。


で、そのやり方ですが、ざっとうわべだけを聞かれると、!!!という感じを持たれるかも知れません。
しかし以降に述べる事については、物事の理屈から言っても、経済学的に見ても、それは正しい手法なのです。


 ということで、あまりじらさないで筆者の回答を述べますと

1.政府は、『有効期限一年限りの商品券』を国民一人あたり20万円(千円券×200枚)、赤ちゃんからお年寄りまでの全ての日本国籍を有する国民に無条件で一律配布する。(5人家族だと百万円になります!)
商品券としての総額は、年間約25兆円となりますが、そのための政府としての財源は設けない(具体的には後述します)。つまり、かかる実質費用は0円です。

2.年度初めに一斉に商品券として配布し、当年度内に全て使い切ってもらう。受け取りを辞退する人達に対しては、福祉施設や大震災復興基金などへの寄付をお願いする。
また、消費を喚起する為の策という趣旨を国民に徹底し、商品券で節約した分で他の現金収入を預貯金に回すなどの行為をやめてもらうようPRする。
 (幾許かは貯金に回す人もいるかも知れませんが)

3.商品券が使える先は基本的に資本金千万円以下の中小の『町の店やさん』とし、大手スーパーなどの大企業などでは使えない形とする。
 (これは別項にも掲げましたが、今大きな課題である社会の多様性確保と、生活保護者増加への対策です)

4.国民は町の店やさんで物品やサービスを購入し、店は受け取った商品券を銀行に持参する。
  銀行はそれを現金と交換して精算する。
  銀行は集めた商品券を一括して日本銀行に持ち込む。日銀はその金額を各銀行に振り込み、精算する。
  日本銀行は集まった商品券については、すべでボイラーで燃やして処分する。

5.この商品券配布については3年間継続させる。 しかしそれ以降について、施策の再度実施については、法を制定して厳禁とし、きちっと歯止めをかける。
この実施により、合計約80兆円分の『財』が国内にばらまかれる事となります。
これによって、年間約20兆円〜40兆円といわれている『デフレギャップ』を埋める事となり、国内消費を一気に活性化させる事ができる。合わせ、円が適度に『薄められる』こととあわせ、国内の企業が海外で稼がなくとも利益を確保できる事により海外依存が減少し、緩やかな『円安』となる。

6.上記の如く、基本的に政府は一円も費用をかける事なく、一気にデフレ対策円高対策を行う事が可能なのです。


 一見すると、これだと日銀が政府に80兆円貸す事になるんじゃないの?と思われるでしょうね。
でも、日銀とは元々政府と一体のものなのです。政府が『これこれの趣旨で政府が商品券を発行して、日銀が全て引き受けるョ』という内容の法律を国会で通せば済む事なのです。
ここのところが、一般の民間での金の貸し借りと、お札を刷る輪転機持ってる日銀や政府との違いなのです。

なんか、狐につままれたような話に取られました? 80兆円もの金はどこから出たんか? とか、そんなうまい話、どこかおかしいに違いない! 
などの疑問を持たれるのは当然かとは思いますがね。
でもよく考えてみて、そもそも『お金』とは何ぞや?から紐解いてみると、おおよその所はご理解頂ける事と思います。先項にも書きましたが、お金とは、みんながお金だと思うからお金なんですね。

 ですから、今の日本の国富(つまり国民や企業、自治体や国などが持つ全ての預貯金や不動産などの財の総合計)が例えば5000兆円あるとして、それを5080兆円ということにしよう!と日本人みんなで決めれば、そうなるだけの話だという事なのです。
ましてや今現在では、その総金額が世界の基準と現在の円相場から見て安すぎる(つまり円が高すぎる)のですから、少し『水増ししなければならない』時なのです。

別の表現をしますと、この『失われた二十年』の間に、国民や企業が本来得るはずであった『預金金利』が、異常に低い水準に押さえられていた為に得る事ができなかった、謂わば『未実現利益』の意味合いでもあるのです。

こう考えると、上記の商品券について、我々日本国民は大手を振ってそれを受け取る権利がある訳なのです。v(^o^)v
もちろんこのやり方では、公平性よりも平等性に重点を置いたやり方となりますが、本来国民が得るべき筈であった、バブル期以降の『繁栄の果実』を、遅まきながら一律に受け取る事ができるのです。

 今現在世界を見渡しても、このような事ができる国は日本のほかにはありません。他国が日本を見習ってこれと同様の手法を取ったとしたら、忽ち大幅インフレと通貨安に見舞われる事となり、その国の政権は大やけどを負う事となるでしょう。逆に今の日本では、30年以上にわたる貿易収支/経常収支の大幅黒字によって、こういった手法を使わねばならないほど、世界との財の価値のギャップが広がってしまっているのです。
その意味で、日本は『奇跡の国』であると言えるのでしょうね。


 若し現代に、高橋是清氏などの傑出した経済人がおられたなら、躊躇なくこの手法をとるでしょうね。
もちろん、瀕死の『どぜう氏』には到底無理な話でしょうが。
また、今の財務官僚や日銀幹部などの諸氏は、こういう思い切った施策を打つ事には本能的な抵抗があって、このような提案に対しては完全無視を決め込むか、はたまた訳の解らん屁理屈を並べて抹殺しにかかる事は必定でしょう。
曰く『こんなことしたらすぐにハイパーインフレになってしまう!』
また曰く『超円安になって国が滅んでしまう!』などと宣う事は目に見えております。何せ彼等は『デフレ円高役人天国』の状態を、決して変えるつもりはないのですから。
一刻も早く財務省と日銀の人事権を国民の手に取り返し、ゴタク連中を一掃してからでなければ、この手の思い切った手立ては打てないでしょうね。


※この話を書いた後に知った事ですが、経済学者の高橋洋一氏も、似たような主張をしておられるようです。

元財務官僚・経済学者の高橋氏は
『今度も政府紙幣発行を景気浮揚策として主張しており、それによれば現状のデフレーション(デフレ)と円高を是正する手段として25兆円の政府紙幣を発行することで、物価は1%から2%上昇し、為替は1ドル120円ほどの円安になるという。フィリップス曲線の理論からすれば、インフレーションが起きると失業が減るし雇用の確保をすることになり、インフレーションを起こす(インフレターゲット)ためには、政府紙幣発行が最も簡便な手法であるとの主張である。高橋はまた国民一人当たり20万円の政府紙幣を配布することも提案している。だが、高橋は政府紙幣発行をリフレ政策のひとつの手段であるとして理解し、政府紙幣ですべてをまかなうか、金融緩和で75兆円のマネーを供給しようか、どちらでもかまわないと2009年には主張している』
 Wikipedia日本語版 政府紙幣 より

彼の論旨は、政府が財政支出なく必要な最大規模の景気対策を打つ事ができるよう、政府による『政府紙幣』を発行する、というもののようですが、狙いはほぼ同じです。
ただ彼の案の場合、その政府紙幣によって様々な課題、例えば自販機やCDのプログラム変更や、そのまま預金に回される可能性が高いなどが懸念され、デフレギャップを一気に解消する手法として直接国民に還元するやり方としては評価できるものの、今少し踏み込んで検討する必要があると思われます。
現在の日本においては、財政出動のレバレッジが効かなくなってきており、従来通りの、国が公共事業を発注してそれによる景気浮揚を計るという間接手法は既に手遅れであるという認識では一致しておりますがね。




 ま、どちらにせよ今の民主党さんには、こんな思い切った手法など全く期待できんけどね。

  早いこと 次行こ、次!!!








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