FT8モードにもQRVしました 2017/8


 先項にも書きましたが、今アマチュア無線界ではJT65モードを主としたデジタルモードが流行っており、筆者も、昨年暮れ頃からこのモードを主として、お空にカムバックしております。

で、今回、このデジタル通信モードの新しい形式の一つとして、FT8というプロトコールが提示されており、結構流行り始めてます。
電波形式としては、それまでのデジタルモードと同じ『F1D』の範疇になりますが、残念ながら日本は未だに『包括免許方式』では無いので、たとえ趣味としてやってるアマチュア無線であっても、新しいモードに出ようとするたびに、総務省への『申請』若しくは『届』が必要となっております。
筆者一人が、遅れてるぞ日本! ええかげんに利権行政やめよ! と憤ってもしょうがないので、このたび、総務省サイトにある『電子申請Lite』で真面目に届ける事にしました。

 今回の変更については、単に3つのモードを追加するだけなので『届』でOKです。
具体的には、このFT8モードと合わせ流星痕通信などに用いられている『MSK144』、それとこれも新しいプロトコルの『QRA64』も同時に届け出る事としました。
単なる『届』の場合は 『事後でいいよ』 という事になっているので、総通に受理された後でなら、電波を出し出しでも大丈夫という訳です。

7月24日にサイトに入力し、その後『附属装置諸元』をExcel形式でメール送付しました。

最近は、総務省のサイトで書類の審査状況が解る仕組みになっています。
先方がデータを受け取った時点で「到達」、その後「受付処理中」 ⇒ 「審査中」 ⇒ 「審査終了」と(順調に行けば)進んでゆきます。
以前、再免許などについては、僅か数日で受理/審査終了となっていたので、すぐにでもOKとなるかと思っていた所、待てど暮らせど一向に「到達」から進みません。 やはり公務員さんたちも人の子、夏休み取ってるのかな〜なんて思っていたら、やっと旧盆明けに「審査中」となりました。
ま、別にもう電波出してるからいいんだけどね。
しかしその後も一向に終了にはなりません。

今日8月25日で1ヶ月以上になったので、業を煮やして総通に電話しました。
『先月に出した届けの審査がまだ終わらないのですが、何か不具合でも?』
『ああ、確かに届いてます。丁度時期的に書類が輻輳しておりまして、早急に処理しますので、今暫くお待ちください。』
担当者の方との簡単な遣り取りのあと、多少の期待を込めて夜にサイトを確認してみた所、「審査終了」の4文字に。電話したら直ぐにやってくれました。(^◇^)ノ

でも審査終了の期日を見ると、なぜか『8月22日』の文字が。う〜ん、サバ読んじゃったね(^0^)
ま、総通さんとしては、審査に1ヶ月以上かかったという実績は残したくなかったんでしょうかねえ。
好意的に取る事にしておきましょう。


 このFT8モードですが、JTでは1分おきの送受信が、これだと15秒毎となるので、単純にいえば交信のテンポが4倍になります。
占有周波数帯幅(使用する信号の幅)も、JTの1/4程度と、同時に多数の局が出られます。

それと、一度コンタクトが成立してしまえば、後は最後まで全自動で進みます。
相手局のコールサインをクリックすると、自動的にその局との交信が始まり、レポート交換、RRR(了解しましたの意)の送信、73(さようならの意)の送信まで、全部ソフトがやってくれます。


なんか楽ちんだし、いい事ずくめのようですが、やはり色々欠点もあります。

◎信号のデコード(解析)率がJTより落ちる
 ⇒ JTだと、−28db〜−30db位の信号も復調してくれますが、FTでは、理論上で−20db、実戦では−18db位が限界となります。

◎コンフリクト(複数の信号が重なる事)に大変弱い ⇒ JTでは、同一の周波数に複数局の信号を受けても、ほぼきれいにそれぞれ復調してくれますが、FTでは信号強度が極端に違わない限り、信号が見えていても、どの局の信号も全滅で復調できない事が多いですね。

◎今の所対応しているソフトが『WSJT−X』しかなく、使い勝手が余り良くない。 JTモードと切り換えるには、ソフト毎切り替える必要がある。

など、まだまだこれからの改良に期待したいモードです。

総じていえば、JT65モードでは、強い信号も弱い信号もそれぞれ復調してくれるので、弱い信号の局がかき消されて埋もれる事があまりなく、ローパワーでも、強い局に伍してゆく事が可能となりますが、このFT8では、『弱肉強食』状態が起きやすく、下手をすると『パワー競争』に陥る可能性もある、と感じております。


  ( 2017/8/25 )

ご参考 ⇒ 今回の変更届で筆者が提出した『附属装置諸元』 『送信機系統図』 および 『附属書類(別紙)』です。
   ネット上で各局さんのデータも参考にさせていただき、作成しました。
   『相身互い』の精神で、敢えて公表させていただきます。

   おことわり:全国全ての総合通信局でこのまま受理されるかについては、一切保証できません。



追記 2017/12/14

2017年10月末に、FT8モードを搭載したWSJT−Xの正式バージョン wsjtx-1.8.0-win32.exe が発表されました。
前述の如く課題であった、デコード率についても大幅な改善がなされており、局同士のコンフリクトや、微弱信号についても実用のレベルにまで達していると感じられます。
具体的には、Wの局と −24/−24 での交信もできましたので、弱肉強食の部分にも著しい改善が見られている様ですし、複数の隣接局についてもしっかりデコードしてくれます。
ただ各局に聞いてみると、やはり皆さんJTモードに比べ、相当パワーを入れているようで、JT65でのマナー 国内最大20W、DX最大30W は、FTモードでは全く守られていない模様で、100W〜300W以上出している局も多々おられるようです。

ただやはり交信時間の短さと半自動QSOのメリットは大きく、FTバンドが大賑わいなのに反比例し、JTモードは閑古鳥が鳴いている状態となっています。
DXペディでもデジタルの主はFTでの運用となっており、今後F1Dの主力はこれに置き換わってゆくものと思われます。






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